2016年11月8日火曜日

「リパライン語で喋ってみた」講評


言語読み上げ動画で悠里内でも有名なminerva scientiaさんが、リパライン語の朗読動画を作成した。「アルカ流派としては完成度が高いやつ」との評価を受け、動画では終盤で強烈なセレン氏批判をかました。
 ここで恒例の長文講評をやりたいと思う。minerva氏は「1日学習者がどこでミスしやすいか」、「構文解説のどこが見落とされているか」について分るといっていたが、確かにそういったところでこの動画は重要な作文データになっていると言えるだろう。

・発音
特に目に付いたのはsを母音前で[s]と発音しているところ。sは母音前では[z]である。綴りが不自然というのは確かにこういうところを言うのかもしれないが、sが[z]になるのには理由があって古い古理語においてはsは[s]で発音されていたが、途中から有声化していったと言う経緯がある。ちなみに閉音節では[s]になる。
rが母音後で母音の長音になっていない。 Miextruraが[mʲɜʃtrura]になっているが、正しい発音は[mʲɜʃtruːa]で発音したりする。古理語では[ʁ]だったが母音後では弱化して、代償延長で伸びたもの。
動詞語尾-erが[ə˞]っぽくなってたが、正しい発音は[eː]または[ɜː]である。古理語では[ə˞]か[aː]か[a˞]のような発音になっていたと思われる。
総合的に見て、古リパライン語訛りの現代リパライン語で、架空世界・文化に当てはめるとxelken系のエスニックグループに属する人が話したリパライン語っぽい印象になっている。

・文章
Xux, salarua als. Sisin es lu.
>どうも皆さん、こんにちは。お久しぶりです。
<salarua als>と書いてあるが、呼格を使った<salarua alsasti>のほうが自然な気がする。その次の文には<Sisin es lu.>と書いてあるがこれは多分<Sisun es lu.>のタイプミスだろう。ちなみにsisinは妻の意味でそのまま読もうとすると「妻はです。」みたいな良く分からないことになってしまう。

Coss niralsen lu n?
>お元気ですか?
等式文ではコピュラ動詞esは必ず現れるので<Coss es niralsen lu n?>が正しい。

No'l plax. Xace fua fqiu loexerm'i xeltestol lu.
>どうもよろしく。この動画を見てくれてありがとうございます。
文法がおかしいところは無いが、名詞を取る前置詞節には出来るだけ名詞が前置詞に近い方が自然なのと、動詞が取る目的語の名詞は動詞に近い方が自然なので<Xace fua xeltestol loexerm'i fqiuj lu.>らへんが自然。

Yst no, mi's lex lkurf lkurftless's es Lineparine.
>今回、俺が話す言語はリパライン語です。
名詞は独立できないのでyst noが後置詞・格なしで一番最初に来るのは不正。次の文では<mi's lex lkurf lkurftless's es Lineparine.>と続いているが、主格がぶら下がっているので最初の<mi's>は<mi'st>にしたほうが綺麗になる。

Dancen Jurli'i lex destes Fafs falira sashimi-afi'a'd lartar lkurftless es.
>創作界隈「悠里」を率いるFafs_sashimiさんの人工言語です。
創作界隈は<likkarunde>で表す(悠里紹介動画などに例あり)。ただ、これは辞書に乗っていないのでしょうがないが、<dancen jurli>という感じで表すなら、属格か-enを付けなければならないので<daicene'd jurli>か<dancenen jurli>になる。リパライン語では、名詞が名詞を修飾する時には必ずこれらの方法で明示しなければならない。<Fafs falira sashimi-afi'a>と書いてあるが、接尾辞の-は転写表記上では特別な場合でなければ明示する必要は無い。

Si'sci Tamiy'd lkurfer ladir ja, mal edioll si la diesyst-jienyp-y'c molil, loarju fqa'i den.
>彼はタミル語のネイティヴ話者で、中学生だったときに、これを作ったそうです。
最初の文でまたesが省略されていて不自然である。また、名詞を取る動詞派生名詞としては<Tamiy'd lkurfer>という構成はおかしく、このままでは「タミル人である(何かを)話す人」のような読まれ方をされてしまうので<tamiy'i lkurfer>というべきである。なお、リパライン語では日本語のように従属節の主語が属格で表される事は無い。なので、ここは<Si es ladir'd lkurfer tamiy('i(t)).>のような感じが正しい。
 細かいが、malの前にコンマが打たれているが普通はコンマは接続詞の後に打つ。ただ、古ユナ語などでは接続詞の前に打つ場合もある。
 <edioll si la diesyst-jienyp-y'c molil>とあるが、siの主格明示が無いのは不自然なので<si's>と明示するべきである。また、molilにio/falを置かずに独立させているのも正しくないので後置詞を置こう。
 間違いではないが、主動詞<loarju>が取る目的語である<fqa'i>は対格語尾を省略しても良い。
また、語末の<den>は<ly>のデュイン方言である。品詞表記の後に[なんとか:なんとか]とか書いてあったらそれは方言単語なので標準語の単語ではない。なので、ここはまとめると<mal, edioll si's la diesyst-jienyp-y'c molil io loarju fqa ly.>が自然である。

Anneoqa ce set lkurftless's mol den fo fyn.
>50人程度の話者が居るようです。
<Anneoqa ce set lkurftless's mol den fo fyn.>とあるが、ceのような級系前置詞は形容詞の前に付くわけだがそれが取るグループは集合を現す名詞であった方が自然で、この文章だと「五十と同じほど凄い言語があるらしいぞ。」というらへんの訳になる。「話者が50人ほど」を表したいのであれば<Lkurfer mol li anneoqa'd larta.>みたいに表した方が簡単だ。

Liaxa mi mun, dalion selunesil io laozia lkurftless'i, mal eo lex "L'altughuf Lugoxcz" tsu lkurftless'i rodestelen es. 
>俺自身も同じ時に人工言語を作っていました。「トゥルアーン語」という膠着語です。
<Liaxa mi mun, dalion selunesil io laozia lkurftless'i>とあるが、<mun>が何のタイプミスか分らなかった、正しくは<at>がつくと思われる。またその後の<dalion>は副詞は動詞前後に付かなければならないので<selunesil io>の後に来た方が良い。ちなみに動詞後だったり、名詞後に来る修飾詞(つまり、形容詞、副詞)は、-jで後ろから修飾していることを明示しなくてはならない。
 <lkurftless>とあるが、人工言語だったら<larter lkurftless>である。<"L'altughuf Lugoxcz" tsu lkurftless'i rodestelen es>とあるが、「トゥルアーン語、つまり言語を当たるは~である」みたいになっている。「「トゥルアーン語」という膠着語です。」だったら、文脈を考慮して<la lex es "L'altughuf Lugoxcz" z'es nolanasch lkurftless>くらいになる。

Fal japaeo, laoziaermjn's reroteain snupolaino'i, mal akrunftel'd lyjot'i maol Hatsune Miku'i lus.
>日本においては、声を出して読むのを恥ずかしがって、字幕をつけたり、初音ミクに頼ったりする作者が多い
<akrunftel'd lyjot>とあるが、辞書中探したところ「字幕」という単語が無いようだった。これは酷いと 思って<ectientovinserl>という語形で造語した。これは間違いではないが対格接辞の付いた単語をol, o, maolとかで動詞前に並べるのは違和感があるように見えた。

Selstaal, fqa'd laoziaer's lkurf jujo firma. La lex xalnem es.
>中で、インターネット上で作者自身が文章を朗読しているのは素晴らしいことです。
<selstaal>が単独で立っている。語法どおりにioを後置しなければならない。<fqa'd laoziaer>とあるが、前でも説明したとおり従属節主語には-'dを使う事は出来ないので、-'sにしなければならない。「~おいて」という意味で前置詞<jujo>を使っているが、これは古語で現在ではfal/ioを使っている。なのでこの文章は<Selstaal io fqa's laoziaer's lkurf fal firma.>というのが正しい。

Kalzaneno'sci, liaxi mi's kinunsares loexermss'i narju. than Miyako-virle'd loexerm'c shrlo lineparine'i lersse eo lex edioll lkurf vel. La lex vasul mi io es tea.
最近になって、俺は動画を公開するようになりましたが、宮古語の動画において、リパライン語を学ぶよう誘いがありました。それは俺にとって嬉しいことです。
 <kalzaneno'sci>とあるが話題格は主語か目的語でないと使えないのでfal/ioを使うべきで、つづいて接続詞<than>が使われているが、これは古語で現在では接続詞<mal>を使っている。<Miyako-virle'd loexerm'c shrlo lineparine'i lersse eo lex edioll lkurf vel.>という文の構造だが、よく学習者は間違えるがshrloだと強い命令口調の意味になってしまう。 また、文の構造が分りにくいので<Mijakovirle'd loexerme'c lineparine'it lersseo'i eo lex edioll lkurf vel.>とすると分りやすい。

Ban mi's vxorlnes niv "waxundeen dusnijrakrantien" anly.
>ただし俺は「異世界転生もの」には無関心です。
間違ったところはない。waxundeen dusnijrakrantien(異世界転生もの)なんて単語を良くあのクソ辞書(自虐)から見つけ出せたものだと感心するのみだ。

>Mi's lecistanili la peidxarnej demoale'c zu efan diax chaiss'tj esm.
罫線ノートに書かれた安っぽいイラストに興味はありません。
語法の問題で<lecistanili>は対象を好む人を嫌うという格組みの意味になっているので、ここではniliを使った方が良かったのではと思う。多分これは辞書の書き方が悪かったので訂正しておく。あと、<la peidxarnej demoale>とあるが、もし、形容詞が名詞の後ろから修飾するのであれば、<-j>をつけて<demoalej>にすべきであった。
 <zu>関係節は関係節に動詞が必要である。「書かれた」を表すならば<skurla>が適切だといえるだろう。また、diax chaiss'tjとあるが、共格は動詞への副詞的作用を持つので適切ではなく、<chaisse's lex mol diax>と訳すべきであった。というか緩衝母音、緩衝子音があまり使われていなくて字面がカオスなことになっているので、適度に緩衝音を入れていくのが良いだろう。
  そういうわけで、関係節は、<zu skurla efan chaisse's lex mol diax diax esm.>というのが正しい。

O harmy lersse cun, liacy Arka-virle'd anfejatz's acsele nil.
>ではなぜ学習しているかというと、「アルカ」のコミュニティーが既に死んでいるからです。

oやmalの話題切り替えというのは、「ではなぜ」と言う意味では少し違和感があり、ここではpaを使った方が良いかもしれない。
 <harmy>からそのまま動詞で<cun>の節に続けているがこれでは、「~だから勉強しているのはなぜ?」という文章になってしまう……と思ったが、語法欄にちゃんと<harmy V cun,>構文が書いてあった!記憶力の無さとは怖いものである。
 <cun>以降の文にesが無いのを除けばそれ以外の問題は全くない文である。

Selene mi's karx mejna'i tea.
ちょっと話し相手が欲しかったのです。
<mejna>はデュイン方言の単語で標準語では<mena>と言う。

Panqa'd nestile'c pesteno aleres.
>習得には1日かかりました。
動詞<aleres>の複雑な構文を使いこなせている +114514点。実は作者ですらこのaleresの構文に混乱してしまう事があった。

Mag cene mi lkruf lineparine'i ekce lex.
>だからリパライン語を少し話せます。
リパライン語の副詞は動詞の前後に付かなくてはならないので、正しくは<Mag cene mi ekce lkruf lineparine'i.>。lexが語末にあるがlaxのタイプミスか。

Mi jel, la qa'd-lyjoten-nesn's stes Darija-virle'i adit Ivrit'virle'i.
子音連続はモロッコ語やヘブライ語に似ていると感じます。
 <la qa'd-lyjoten-nesn>は「二重子音」で、「子音連続」という概念を指しているわけではない。なので、<ekcanen nesn>と訳した方が良かったかもしれない。
 また、 <jel>の構文が間違っていて、主格語がぶら下がっている。
 <Mi jel ekcanen nesn steso'c Darija-virle'i adit Ivrit'virle'i.> が格組みとして正しい。ただ、私なら<xale>(~のような)という便利なNAAN接置詞(前置詞にも後置詞にもなる単語)を使って、<Mi tisod ny la lex. Lineparine'd ekcanen nesn es xale Darija-virle adit Ivrit'virle.>と書いていただろうと思う。間違いではないがこういったところに正しい文法や語法で個人の作文の違いが出るのは方針として間違いないので嬉しいところである。

Et fur ljot, flivi'a xorln es. Fqass es Arka xy exerten.  
>また綴りもしばしば不自然です。これらの点で美しさは「アルカ」に劣ります。
<fur>は話題格で上で説明した<-'sci>と同じである。ここでは<mels>を使った方が自然であり、また副詞の位置も正しくない。
 正しくは<Mal, Mels ljot flivi'a es xorln.>になる。それ以降は文法・語法的問題はない。

Xi, carli, Liaxu mi vsfafgh elx mole inelneso lartar lkurftless'i y io lex laozia voklis.
もっとも、人工言語はその人工言語が作られた理由に基づいて評価されるべきだと思います。
 例文から持ってきてくれた自分の信条に同意してくれるのは嬉しい感じだ。ここには、文法・語法的問題はない。

Lineparine es Arka'd fyrkjaerlera le xorlnem anfentiqale.
「アルカ」の犯罪思想に比べれば素晴らしいのは間違いないでしょう。
凄く惜しい。
 副詞の位置にリパライン語は本当にうるさい。これを嫌うのであれば副詞を使うのではなく、名詞+接置詞のほうが使いやすいかもしれない。

E waxes lex zifoscures valifasneler ad la lex'i lexif valifasneler cun panqa m'es jeie, panqa m'es fafsirl.
>自覚している変態と無自覚の変態は大違い。前者は面倒、後者は厄介なのです。
 例文からの引用。これは自分の転校前の高校の友達の発言であったりする。

Jei, Seren Arbazard-sti! Celde la lex?
>お分かりですか、セレン=アルバザードさん?
Jei~-stiのコンボはリパライン語のネイティブとして、凄い煽り度が高いと思った。凄い。
 分かっている事を確認するには<co firlex?>と訊けばよい。<celde la lex?>は意味的に違うかと思った。

Fasta la pesta. Miextrura, nyrn. Mol nironj!
>ではまた。皆さんもお元気で。
<Fasta la pesta>はアスタラヴィスタではない(迫真)、ここでの語法も完璧であるが、<nyrn>はGute Reise.とかに当たるのでちょっと不適切かなと思った。
 <miextrura>も「我が同志よ!」という堅苦しい、演説向きの単語なのでここでも<alsasti>を使った方が良いとおもう。

・総評
一日でここまで出来る人は中々居ないわけだが、やはりリパライン語に初めてで会う人特有の修飾ミスだったり、細かい語法の不自然さや、名詞の独立などが目立つ。何回かリパライン語は学ばれてきたわけであるが、そんななかでそういったリパライン語でどういった事が習得しにくいのかと言った事を改めて理解する事が出来た。こういった資料は必ず、この先のリパライン語学習者に役立つことであろう。
minerva scientiaさんには、お願いに応じて動画を作っていただいてとても嬉しく思い、感謝しております。余裕があれば、これからもリパライン語の探索を楽しんでいただきたいと思います。